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Kana Izumi

問いかけの力

更新日:2023年2月11日

 ワークショップや会議などの場づくりのデザインと推進を行うファシリテー ターの立場で、さまざまな活動に携わっている。昨年は檜山管内江差町の「九艘 川公園魅力化プロジェクト」や、「地方創生カレッジin函館」、はこだて未来 大の田柳恵美子教授が主宰する「まちdeゼミナール」など。まちづくりや教育 関連のほか、企業やNPOの伴走も行う。いずれも解くべき課題や突破したい目 標がある活動や団体ばかりだ。


 ファシリテーターとして目指しているのは「人に考えさせ、動機づける役割」 であり続けるということ。参加者の思考を引き出し、やりたい、やれると自ら思 えるように促す。

 その時に大切なのは「問いかけ」の力だ。何を聞くか、どんな順番で聞くか、 課題解決のゴールに向けた質問をする。問いの「因数分解」とも言え、「このま ちの魅力をどう上げるか」より、「このまちで増やしたいことは? 逆に減らし たいことは」と問うと答えたい人が増え、行動につながることもある。


 また、問いによって思考の枠組みを変えるリフレーミングも試みる。「あなた が社長だったら」「函館を例に」「縦横斜めで見ると」との視座、視野、視点か ら、具体と抽象を往来して、物事の捉え方をあちこちから突いてみる。よい質問 は、水脈への一鍬になり、発露を起こす。泉がさざ波となり、未来を変える。


 詩人の谷川俊太郎は著書「谷川俊太郎の33の質問」でこう問う。「好きな笑い話を一つ、披露してくださいませんか」。答えを巡らす時間が実に楽しい。


泉 花奈(まちの編集者・函館)

2020/07/17 北海道新聞 コラム「朝の食卓」より一部編集



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